2021 September

 

 
 
 
8月は会社の決算と新規の納品で事務所もアトリエも忙しく、ようやくひと段落。コロナ禍になり会食やパーティーは皆無、伝票の少なさはアクティヴィティの少なさに比例するというのも寂しい。毎月のデータを入れたUSBメモリーもなかなかいっぱいにならないコロナ禍の日々が続く。

 

 
 
私がパリに渡ったのは33年前、1988年の9月。懐かしい日記が全て出揃い時系列順に年号を付け、並行して写真データを揃えていく作業が始まる。パリに着いたばかりの頃、毎日の発見に一喜一憂していた初々しい日々。今も心のどこかで「あの気持ちをもう一度」と思う自分がいる。

 

 
 
 
ようやくベースの資料が整いCR-ROMからデータを選ぶ作業もスムーズに。雨が降り続く週末、静かなアトリエで延々と作業は進む・・・。一体いつ終わるのだろう?

 

 
 
長引く緊急事態宣言で対面の打ち合わせは殆ど無くなり会食の機会は皆無、久しぶりに訪れる丸の内は静まり返っている。友人達も在宅勤務のため、「ちょっと会わない?」も叶わず。屋外の飲食なら安心という事で作られた「丸の内パーク」、本来なら夕方にはアペリティフを楽しむオフィスワーカーで賑わうはずが今はワインすら飲めない。

 

 
 
ビルの地下のカフェやデリ、ビストロも全てクローズ。行けど行けども無人のビル、怖くなって地上に上がるほど丸の内には人が居ないのだ・・・。

 

 
 
 
美しい煉瓦の建物に囲まれたブリック・スクエア、パリの蚤の市かと思う様なお気に入りのブティックもいよいよ閉店。アンティークのアクセサリーやヴィンテージのテーブルウェアなどが所狭しと並ぶ。こんなお買いモノの楽しみはネットショッピングでは味わえない・・・。

 

 
 
コロナ前は打ち合わせでよく来ていたカフェも全てクローズ、某商社の仮本社も撤退しゴーストビルディングの様。皇居のお堀を眺めながらチャイニーズやフレンチを楽しめるレストランも臨時休業と閉店。東京はこの先どうなってしまうのだろう・・・?

 

 
 
 
駆け抜けて来た30年を振り返るのはなかなか大変、毎回きちんと整理してから次のプロジェクトに進めば良いのだけれど、そんな余裕もないままに次から次へと新しい仕事が続いた日々。飛行機をバスの様に乗り継いでパリー東京-軽井沢をベースにフランス各地を初めスペイン、イタリア各地、ウィーン、プラハ、香港、台北と移動し続けていた生活もコロナで一変。膨大な記録と資料を前に「千里の道も一歩から」と言い聞かせる。

 

 
 
異例の雨が続いた今年の夏、久しぶりに軽井沢へ。高速に乗りアンソニー・カロの彫刻のようなライトが見えるともう横川、清々しいテラスのランチでようやくリラックス。延々と事務所に篭っていた日々からようやく解放された気分。

 

 
 
新鮮な野菜や果物はもちろん、切り花の種類も豊富な発地市庭。珍しいキノコや木の実、新種の野菜も興味深い。 ユーカリの香りが爽やかな切り花のコーナーで吾亦紅(われもこう)を見つけ秋が近い事を知る。

 

 
 
雨ばかりで夏が無かったような今シーズンの軽井沢、まだ誰にも会っていない。ようやく友人の美術館に伺い久しぶりの再会、お茶もランチも出来ないけれどソーシャルディスタンスでお顔を見るだけでもやっぱり嬉しい。手入れの行き届いた美しいお庭と咲き揃った花々に癒される。

 

 
 
旧道の裏にひっそりあるお気に入りのアンティークショップを覗く。ヨーロッパのヴィンテージ食器やアクセサリー、レースの付け衿も可愛らしい。コロナの影響で閉店してしまうお店も多くシャッターが続く旧道に驚く。

 

   
 
 
最近の軽井沢では珍しく夕方まで雨も降らず爽やかな夕暮れ、ランタンを灯しテラスでアペリティフを楽しむ。木々にこだまする虫の声と森の匂い、静寂に包まれた神秘的な時間・・・。

 

 
 
 
私が育った家は父の作品である「サニーボックス」という小さな面白い家。居間と同じ大きさのテラスがリビング代わり、いつもテラスで過ごしていた。その影響か軽井沢でも仕事から食事までいつもテラス、爽やかな風と森の匂いに包まれて朝の一仕事、ランチのバーベキューもやっぱりテラスで。

 

 
 
 
旧道にあるブティック・サンモトヤマに来シーズンの打ち合わせに伺う。その昔は東京を往復することもなくひと夏を過ごした軽井沢、おしゃれなお買い物は全てこのサンモトヤマで。テニスコート帰りのカジュアルな格好でも気軽に入れる避暑地ならではの雰囲気は今も健在。

 

 
 
打ち合わせも全てオンラインになって久しく常にアトリエか事務所。トレーニングマシンとバドミントンで運動不足ではないけれど、本当に歩かない。プリンスのアウトレットモールにショッピングを兼ねてウォーキングに行く。浅間山をのぞむ広大な敷地に美しい植林や池もありまるでアメリカの様、澄んだ空気の中数キロを歩く。

 

 
 
 
軽井沢でリフレッシュしたのも束の間アトリエは山のような仕事、事務所は整理の日々が再び始まる。2年余り仕事の合間にコツコツとやって来た「過去の仕事の記録」もそろそろ揃い始め、ようやく時系列で並べる。データや写真を整理するだけでも大変な量の出来事、実際に過ごして来たと思うと眩暈すらする。

 

 
 
スポーツジムもテニスクラブも臨時休業が長く続いたコロナ禍、何とか運動しようと始めたバドミントンとスケートボードもすっかりルーティンに。そろそろスキーシーズンも近く細々したグッズを揃えにスポーツショップを回る。大画面で見るスケートボードの映像が素晴らしく、自由で伸びやかなこの雰囲気こそアメリカ!日本人選手の活躍が嬉しい。

 

 
 
 
秋晴れの夕暮れ、澄み渡った紺青の空に美しい月が浮かぶ。数日後の中秋の名月に晴れるとは限らない、早速テラスにアペリティフをセッティング。心地よい風と澄んだ空気、思いのほか明るい月の光に幻想的な夜が更ける。

 

 
 
 
納品を控え検品作業が続くアトリエ。天然樹脂とも言われる琥珀は化石の一種でもありロマン溢れる素材、光を通すとその美しさは際立ち軽さもその魅力。ヨーロッパでは大ぶりの琥珀が人気だけれど、私は華奢なデザインに仕上げたい。強い光を当てると浮かび上る琥珀の美しさにうっとり、なかなか作業が捗らない。

 

中秋の名月とは太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月の事で、この月を愛でる習慣は平安時代に中国から伝わったそう。今年は8年ぶりの満月と聞きテラスのディナーもスタンバイ。
 
あいにくの曇りでがっかりしていたのも束の間、あっという間に晴れて月が顔を出す。満月の光はとても明るく見応えたっぷり、そして再びあっという間に空は雲に覆われる。1時間足らず「空劇場」に感激する。

 

 
 
汗ばむほどの快晴の中、竹橋の近代美術館に隈研吾展を見に行く。ネット予約は既にいっぱい、並んで当日の入場券を貰うという凄まじい人気に驚きつつ静々と進む。更に驚くのはその場で入場できるわけではなく、指定の時刻に再び戻って来て初めて観られるという事!コロナ禍で不景気が続く中、活気に溢れた光景が嬉しい。

 

 
 
久しぶりに日本橋高島屋本店へ、昔ながらのクラシックなデパートの雰囲気は懐かしくも新鮮。日本ならではの「デパートの文化」、丁寧に構成されたフロアと重厚な什器も素晴らしい。高級婦人服と言う呼び名がぴったりなブランドが続く中、資料館の展覧会を拝見する。

 

 
 
感染防止対策に信頼のおけるホテルのラウンジで久しぶりに友人と再会。仕事では全てがオンラインになり対面で人に会う事が殆どない日常、皇居のお堀に木々が映り込む美しい光景とゴージャスなフラワーアレンジメントに癒される。

 

 
 
ようやく納品業務も一段落、軽井沢に到着。日頃の運動不足を解消すべくウォーキングを兼ねてショッピングへ。子供の頃はゴルフ場だったプリンスのアウトレット、広大な芝が続くガーデンは既にハロウィーンのデコレーション。テントのようなベンチもコロナ禍にあって大人気の様、浅間の澄んだ空気の中久しぶりにたっぷり歩く。

 

 
 
軽井沢に来るたびにお庭で摘んで作るミントティー、フレッシュなままでも美味しけれどドライにすると一際香りが立つ不思議。静かな早朝、朝露に濡れたミントの爽やかな香りと澄んだ空気、眩しい朝陽が嬉しい。

 

 
 
 
diary index 7月12日から長く続いた緊急事態宣言もいよいよ9月30日で解除に。ようやく終わる、と言う感覚と共に「今年も残すところ後三か月」のフレーズに焦るのは私だけではないはず。新幹線は未だガラガラ、東京へ向かう車窓の雲に長かった日々を想う。 page top

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